
In No Great Hurry 13 Lessons in Life with Saul Leiter
写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと / 2015 / U.S. , U.K. / 75 mins
OUTLINE
「人生で大切なことは、何を手に入れるかではなくて、何を捨てるかなんだ。」
「私は大した人間じゃない。映画にする価値などあるもんか!でもまあ仕方ないか..。」
読んでいた新聞紙をたたみながら、声を荒らげるおじいちゃん。でも最後にクシャッと低い声で笑う。
彼はソール・ライター。
カラー写真のパイオニアであり、伝説の写真家。
ペンシルバニア州ピッツバーグで、高名なユダヤ教の聖職者の父の下に生まれたソール・ライターは、幼少期から父の敷いたレールに沿って神学校へ通い始める。成績は決して悪くなかったが、厳格な規律や倫理観に縛られた生活に居心地の悪さを感じるようになったライターは、次第に絵を描くことに喜びを見出すようになる。
初めて自分のカメラ、「デトローラ」を母親に買ってもらったのは12歳の頃。
家族の中で、唯一の理解者だった妹のデボラは、彼のお気に入りのモデルだった。
1946年、23歳になった年、画家になることに大反対する父親の理解を得られぬまま、ついに神学と決別し、夜行バスでニューヨークを目指した。
それからというもの、極貧時代も経験しながらも、絵画の様な表現力でニューヨークの写真を撮り続けた。「LIFE」に写真が掲載され始めたことを皮切りに、1950年代から「Harper’s BAZAAR」や「VOGUE」など、有名ファッション誌の表紙も飾るようになる。
しかし、80年代、写真に芸術性よりも商業性が強く求められ始め、彼は表舞台から姿を消す。
「有名人を撮るよりも、雨に濡れた窓を撮るほうが私には興味深いんだ。」
「私は有名になる欲求に一度も屈したことがない。自分の仕事の価値を認めて欲しくなかったわけではないが、父が私のすることすべてに反対したためか、成功を避けることへの欲望が私のなかのどこかに潜んでいた。」
あえて名声から距離を置き、彼は自分自身が美しいと感じるものを撮り続けた。
本作品はドキュメンタリー。つまり、実在した写真家の言葉に触れることができる。
2013年11月に他界した彼がこの世に遺した言葉とはー。
TRAILER
SCENES







All photo by bunkamura, eiga.com
FILM INFORMATION
- Company : Zeitgeist Films
- Film Director : トーマス・リーチ
- Casts : ソール・ライター
- 2015 / U.S. , U.K. / 75 mins